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新しい指数はグロースとバリュー?

おーくら
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新たな指数の誕生

2023年6月30日から新しい株価指数の算出が始まりました。

その名も「日経連続増配株指数」。アメリカのような配当貴族指数がなかった日本株ですから、待ち望んでいた人も多いのではないでしょうか。

そして同じ日に算出が始まった「日経累進高配当株指数」。こちらも減配せずに増配か配当維持する銘柄だけを集めたものなので、安定的に高配当を得たいという方にとっては投資を検討するに値するものとなると期待されます。

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「日経連続増配株指数」とは?

以下のような基準で日本経済新聞社によって算出されます。

・国内証券取引所の全上場銘柄が対象
・実績ベースの増配を原則10年以上続ける銘柄のうち、連続増配の年数上位から70銘柄を上限に採用
・年1回定期見直しを実施、6月末に入れ替え
・時価総額ウエート方式で算出(日次終値ベースで算出)、各銘柄のウエート上限は5%
・2010年6月末を基点(10,000)として遡及算出

ただし、流動性が乏しく、時価総額が小さい銘柄は未採用

出典:「日経連続増配株指数」「日経累進高配当株指数」の公表開始について|日本経済新聞社のプレスリリース (prtimes.jp)

平たく言えば、日本市場の株で、10年以上連続増配している株のうち上位70銘柄がこの指数に組み込まれることになります。

なお、予想配当利回りは、さほど高くなく2%を少し超える程度で日経平均の予想配当利回りより少し高い程度。どちらかというと、グロース株投資の側面が強いのかと思います。安定的に増配できるということは、成長してキャッシュを生み出し続けているということですので、グロース株の側面がありますし、将来的に自分が買ったところから考えると利回りがよくなっていることが期待できます。

年1%の割合で増配していく株を買ったとすると、最初が1,000円の配当だったとしても1年後には1,010円、2年後には1,020円、5年後には1,051円、10年後には1,105円、15年後には1,161円、30年後には1,348円と複利の効果で雪だるま式に増えていきます。そのため、この株が50,000円で買った株だとしたら、最初は利回り2%ですが、30年後には利回り2.696%になります。増配し続ける分、利回りがよくなっていくのです(ただし、株価が変わらない場合の計算です)。

「日経累進高配当株指数」(愛称:しっかりインカム)とは?

以下のような基準で日本経済新聞社によって算出されます。

・国内証券取引所の全上場銘柄が対象
・実績ベースで減配せず増配か配当維持(累進配当)を10年以上続ける銘柄のうち、日経の予想配当に基づく配当利回りが高い順に30銘柄で構成
・年1回定期見直しを実施、6月末に入れ替え
・時価総額ウエート方式で算出(日次終値ベースで算出)、各銘柄のウエート上限は7%
・2010年6月末を基点(10,000)として遡及算出

ただし、時価総額500億円以上が対象

出典:「日経連続増配株指数」「日経累進高配当株指数」の公表開始について|日本経済新聞社のプレスリリース (prtimes.jp)

平たく言えば、日本市場の株で、減配していない状態を10年以上続けている銘柄のうち、予想配当利回りが高い30銘柄がこの指数に組み込まれることになります。

なお、こちらは高配当銘柄が多くなり、予想配当利回りは5%弱。銀行などのお堅い銘柄が多く、PBRは1倍割れで、いわゆるバリュー株の側面が強い印象です。

トータルリターンの比較

トータルリターンは以下の通り。

※日経平均(TR、トータルリターン)は基点日(2010年6月末)の値を10,000として指数化

日本経済新聞社『日経連続増配株指数』のリリースから引用「日経連続増配株指数」「日経累進高配当株指数」の公表開始について|日本経済新聞社のプレスリリース (prtimes.jp)

上が日経連続増配株指数と日経平均との比較、下が日経累進高配当株指数と日経平均との比較です。

日経累進高配当株指数が日経平均より少しだけ上回っている一方、連続増配株指数は、はっきりとアウトパフォームし(上回っ)ていますね。これは、より成長力のあるグロース株=連続増配株だからではないでしょうか。実は、連続増配株がグロース株の側面を持つということは、株価モデルでも証明できます。

連続増配株=グロース株?

配当割引モデルという株価モデルを使うと、株価というのは以下のような計算式で成り立つとされます。

この式を変形すると、

トータルリターンは、値上がり益(キャピタルゲイン)と配当利回り(インカムゲイン)の合計ですから、以下のような式になります。

トータルリターン=値上がり益+配当利回り

トータルリターンは、資本コスト(投資家の要求リターン)のことだとされるので、トータルリターン=r(資本コスト)の関係が成り立ちます。

また、配当利回りは配当÷株価で求められるので

になり、トータルリターンとr(資本コスト)が等しく、配当利回りも等しいですから、

上記の式より、g(配当成長率)と値上がり益もイコールになるので、連続増配株は増配する分だけキャピタルゲイン(値上がり益)が得られることになります。

このことから、連続増配株はグロース株の側面を持つといえます。

また、前述した通り、増配株は持ち続ければ(年々配当金が増えていくため)配当利回りがよくなっていきますから、長期投資に向いていると言えます。ただし、トータルリターンの図のように日経平均を上回るには、配当を再投資することが前提です。トータルリターンの計算には配当利回りも入っていますから、配当再投資して複利効果を得ないと日経平均を下回る可能性があります。そういう意味では、配当金を今すぐ自分の生活に充てたい方よりも将来的に値上がり益と配当益の両方を得たい方に向いているかもしれません。

参考:「連続増配株指数」が誕生 新たな配当株戦略が可能に – 日本経済新聞 (nikkei.com)

どう活用するべきか?

現状、この2つの指数に連動する金融商品(ETFや投信)はありません。まだ、出来たばかりですからね。そこで、そういった商品が出てくるまでこの指数をどう活用するのか、考えてみたいと思います。

まず、日経連続増配株指数は、組み入れ銘柄がすべて10年以上の連続増配株ですから、少なくとも10年以上は増配できるだけの成長を続けてきた銘柄です。資金に余裕がある人はこの指数に連動するように株を買ってもいいかもしれませんし、そうでなくても優良銘柄が多いですから、個別に吟味し、自分なりのポートフォリオを作ってみてもいいかもしれません。

日経累進高配当株指数も同様に、個別銘柄の吟味の上、投資を考えられます。ただ、バリュー株の側面が強い銘柄が多く、高配当の面が強く出ていますので、今すぐに高配当を得たい人(例えば年金の上乗せのために安定した配当が欲しいなど)に向いているかもしれません。

以上のように、それぞれの指数がどういった側面が強いかを頭に入れながら、自分に合うスタイルを考えてみてください。

個別銘柄に関する検討は、おいおいやっていこうと思っています。

投資はあくまでも自己責任で。

それではまた。

ぽにっちぇ
ぽにっちぇ

日経連続増配株指数はグロースの側面が強く、日経累進高配当株指数はバリューの側面が強いよ!

それぞれの側面を考慮して、投資を考えよう!

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ABOUT ME
おーくら
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2級FP、AFP、行政書士有資格者
自分で選択するためのチカラを身につけよう!お金のことを中心に、明日からの毎日をより良いものにしていく情報を発信します!
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